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 微生物検査あれこれ

  菌をふやして数えよう♪菌をこっそり見てみよう♪ 


 培地の種類について
培地には、いろいろな種類があります。
形状の違いや、培地の中に含まれている成分の違いなど。その種類は様々です。
私たちは、目的に合わせて培地を選び、実験や検査をおこないます。
@培地の形状
培地に含まれる寒天培地の違いにより、液体培地・半流動培地・固形培地に分かれます。
  液体培地 半流動培地 固形培地
寒天量 0% 0.3〜0.5% 約1.5%
使用目的 増殖・代謝物作成 運動性の確認・菌株保存 生物学的性状試験
分離培養・菌株保存
形態 試験管に入れる。 試験管に入れる。 いろんな種類がある
(下表参照)

このうち、固形培地は、培地を入れる容器の種類により、さらに種類が分かれます。
  平板培地 斜面培地 高層斜面培地 高層培地 重層培地
使用目的 分離培養
菌数測定
純培養・保存
増殖
など
生物学的性状試験
こんな形してます
A 培地の成分
培地に含まれる成分により、生えてくる菌が違います。つまり、菌にも好き嫌いがあるわけです。雑多な菌の中から特定の菌を選択する場合や、単一の菌を増やす場合など、目的にあわせて培地の種類を決定します。

培地の成分を大きく分けると
栄養素 ペプトン・エキス・無機塩類 微生物が生きていくために必要な栄養素
鑑別剤 糖類、pH指示薬、
酵素基質など
微生物の生化学的検査や、集落鑑定のための成分。微生物によって代謝が異なることを利用して、特定の微生物しか使えない栄養素を添加したり、それに伴う反応をとらえて色が変わるような材料を添加する。
選択剤 界面活性剤、有機酸、色素、無機塩類、胆汁酸など 目的の微生物以外の微生物の発育を抑制するような材料。
固化剤 寒天 培地を固めるのに使う。
精製水 培地を溶かしたり、希釈水を作るのに使う。イオン交換水、RO水などを用いる。

これらの成分の組み合わせで、微生物に適した培地を作っていくんですね♪

右の写真は、実験で使用するために作った平板培地です。
培地の種類によって色が違ってカラフルでキレイです。

但し、ちょっと培地が薄すぎるというご意見有。
貧乏性なもので、分注する培地をケチってしまうmoakoなのでした。あまりケチると、菌の生育に影響するので、オススメしません。

  

写真の培地は、左奥から

●標準寒天培地

 成分  酵母エキス、トリプシン、ブドウ糖、寒天
 食品、水などの中に含まれる細菌を非選択的に培養することができる。様々な培地の基礎となっている培地。
 一般生菌数を測定するのに用いる。

マンニット食塩寒天培地
 成分  肉エキス、ペプトン、D-マンニット、塩化ナトリウム、フェノールレッド、寒天

 ブドウ球菌の選択培地。 塩分が7.5%と高いのが特徴。 
 S.aureus
はマンニットの発酵により、フェノールレッドの色調が赤→黄色に変わる。
 また、卵黄を添加することによって、卵黄反応による帯黄乳白色のリングを検出することができる。

 
●BG(ブリリアントグリーン)寒天培地
 成分 ペプトン、酵母エキス、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、フェノールレッド、ブリリアントグリーン、寒天
 
 チフス菌以外のSalmonella 分離用選択培地。 
 ブリリアントグリーンはグラム陽性菌およびほとんどのグラム陰性桿菌を抑制する。 
 元々は緑色の培地だが、酸の発生により黄色に変わる。

 
●ポテトデキストロース寒天培地
 成分 バレイショ浸出液、ブドウ糖、寒天
 酵母および糸状菌の培養および計算に用いられる。

  細菌の生育を抑制するためには、乳酸or酒石酸でpH3.5 に調製するか、クロラムフェニコールを加える。

 ポテトチップスみたいなにおいがするので好き。

デソキシコレート寒天培地
 成分  デオキシコール酸ナトリウム、ペプトン、クエン酸鉄アンモニウム、塩化ナトリウム、
      リン酸一水素カリウム、乳糖、ニュートラルレッド、寒天
 腸内細菌の選択培地。特に大腸菌群数として、下水の細菌試験等に用いられている。 
 デゾキシコール酸ナトリウム、クエン酸塩がグラム陽性菌を抑制する。 
 酸を生成すると赤いコロニーになりそれが大腸菌群としてカウントする。
 個人的には赤色が微妙でわかりにくいのであまり好きじゃない。


培地の種類について   培地の種類について   培地の種類について
  寒天ってすごい??
これを最初に微生物の分野で使い始めたのは1881年、コレラ菌、赤痢菌を発見したロベルト・コッホ先生だそうです。
コッホの三原則のコッホ先生です!!!!
今もかわらず、微生物培養法の基本として君臨してます。

原料はテングサ、オゴノリなどが主流で、微生物用の培地はこれらのブレンドが主流です。主成分はアガロース。糖が直鎖状につながっており、分解されにくい性質を持っています。また、内部に水分子を内包しやすく、多量の水を吸収してスポンジ状の構造を形成します。

水分を蓄えることができ、栄養分をその中に保持しておける。さらに、寒天自体は微生物によって分解されにくい。
そのため、微生物の培地に適しているのですね。

寒天培地を加熱していくと解ける温度を融点、また解けた寒天が固まる温度を凝固点といいますが、寒天は融点が85〜93℃、凝固点が33〜45℃くらいだそうです。これも寒天に混ぜる塩、糖などによってかなりちがうようです。
融点と凝固点が違うって、最初はとてもびっくりしました。不思議ですよね。
でもこれのおかげで、混釈培養ができるんですけどね。
 
 
   
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